通勤や通学、買い物など、いつもの外出中。
「まさか、こんな場所で」と思われる私達の日常の中で、「盗撮」は実際に起きています。
しかも最近は、スマートフォンだけでなく、靴やカバン、ペンなどに小型カメラを仕込むなど、見た目では気づきにくい巧妙な手口が使われています。
この記事では、通勤・通学・買い物などの外出中に起きる盗撮に絞り、実際に使われている手口と、被害に気づくためのポイントを紹介します。
盗撮はどれくらい発生している?
警察庁によると、2025年に「撮影罪(ひそかに撮影)」として検挙された事件数は、7,904件でした。
そのうち、
携帯電話が6,414件(81.1%)
小型・秘匿型カメラが1,300件(16.4%)
となっています。
スマートフォンを使った盗撮が多い一方、約6件に1件は小型・秘匿型カメラが使われていました。
また、盗撮は特別な場所だけで起きているわけではありません。
警察庁の資料では、2024年に性的姿態撮影罪で検挙された盗撮事案の発生場所として、
商業施設が36%、駅構内が22%
を占めていました。
通勤や通学時の電車内だけでなく、普段の買い物で利用する「商業施設内」も日頃の生活の中で十分な注意が必要だということが分かります。
実際にある「盗撮手口」
「盗撮」というと、多くの方はスマホを向けられる場面を想像されると思います。
しかし最近の盗撮は、ドラマのように巧妙な方法を使用して撮影するものも大変多いのです。
これから、実際にあった盗撮方法をご紹介していきます。
靴先に小型カメラを仕込む
「靴の先端」付近に小型カメラを仕込み、後方からスカートを履いている女性の足元へ靴先を入れて撮影する方法。
2026年春頃、大阪で実際に起こった事例になりますが、阪急電車内で
スニーカー内に取り付けたカメラによる盗撮事件
が発生しました。
この事件では、目撃者の協力もあって犯人が検挙されましたが、見た目は普通の靴ですので、よく見なければ小型カメラの存在に気づくのは難しい手口でした。
カバンの中にカメラを仕込む
また、靴だけでなく、カバンの中にカメラを仕込んで盗撮するケースがあります。
例えば、ビジネスバッグの側面や底面に小さな穴をあけて、中から小型カメラを忍ばせ、レンズ部分だけをのぞかせるように細工したカバンを使用した犯行です。
満員電車では下が見えず死角となるため、カバンが足元にあっても気が付かないことが多いです。
また、私も経験がありますが、電車が混んでくると、偶然足の間に他の方の鞄が入ってくることもあるため、偶然か故意かの判断がつかず、実際に盗撮の被害に気付きにくいのです。
スマホを使って、そのまま撮影する
現在もっとも多いのは、やはりスマートフォンを利用した盗撮です。
2025年の撮影罪の検挙事案では、使用機器が特定できたものの81.1%が「携帯電話機」でした。
そして、この手口の盗撮で特に狙われやすい場所が、階段や上りエスカレーターです。
女性の後ろをぴったりと追随して、動画撮影の状態のままカメラを片手で持ちスカート内に差し込んだり、必要以上に距離を詰めて不自然に低い位置で操作をして撮影するケース等があります。
よく見ると、明らかに不自然な動作ですが、人が多い場所だと、他の利用者も自分の目前や手元しか見ておらず、周囲を見渡す人はいないため、犯行が気が付かれないことが多いのです。
「カメラには見えない」小型カメラ
さらに注意したいのが、日用品に見せかけた小型カメラです!もうここまでくると、見た目だけでは全く分かりません。
実際に、警察が盗撮に使用された道具として公開したものの中には、
ボールペン型、ライター型、腕時計型、USB型
などがありました。
つまり、「カメラを向けている人だけ警戒すればいい」というわけでは無いということです。
普段よく見る日用品の中に、非常に小さなレンズが隠されている場合もありますので、これに気が付くのは至難の業です。
元警察官として感じた、盗撮の「心理的な中毒性」
私が警察官として盗撮事案に関わっていた当時、感じていたことがありました。
それは、盗撮という犯罪には、ある種の「心理的な中毒性」があるということです。
「見たい」という欲望に、“見つかるかもしれない”というハラハラした刺激が加わる。
そして一度撮影できてしまうと、その成功体験がさらなる興奮生み、もう一度刺激を求めるように、同じ行為を繰り返してしまう。
実際に盗撮で検挙される犯人は何件も繰り返す常習者が多かったため、私は「盗撮」という犯罪に薬物にも似た「中毒性」を感じていました。
そして、これは数字から見ても如実に表れていて、法務省の犯罪白書では「盗撮型」の再犯率は36.4%!
複数回刑事処分を受けているにもかかわらず、条例違反を繰り返している者が多く、盗撮が一度だけで終わらないケースも多いことが示されています。
だからこそ、犯行に気付いた時の対処方が、とても重要だと考えています!
最初の犯行に気づき、すぐ通報することができれば、その後の被害を大きく防ぐことに繋がるからです。
盗撮から身を守る方法は?
残念ながら、手口が巧妙化している現在、盗撮を完全に防ぐ方法はありません。
そんな状況の中でも、被害にいち早く気付くためにできることがあります!
それは、意識して「周囲に目を向ける」ことです。
まず、階段やエスカレーターでは、後方を確認する。
電車内や買い物中では、
足元に不自然に近づいてくる靴やカバンがあるか
スマホを極端に低い位置へ向けている人がいないか
同じ人が何度も不自然に近づいてこないか
といった周囲の様子に、少し目を向けてみてください。
反対に、被害に遭いやすい状況として、手元のスマホに夢中になっている場合は狙われやすい傾向にもあります。
自分の目の前にしか注意がいっていないため、背後から犯人が近づいきやすいためです。
ただ、注意が足りなかったとしても、どんな服装をしていたとしても非があるのは、間違いなく「盗撮をする側」の人間です。そこだけは、間違えないようにしてください。
そして、外を歩くときは手元からときどき顔を上げて周囲を見ることを心がけてほしいと思います。
それだけで、不自然な行動に気づくきっかけになり、狙われにくくなります。
被害に気づいた・盗撮を目撃したら
盗撮の被害に遭った、または盗撮らしい行為を目撃した場合は、無理に一人で犯人を捕まえようとしないでください。
駅なら駅員、店舗なら店員、周囲の人に助けを求め、安全を確保したうえで必要に応じて110番通報しましょう。
警察も、盗撮被害に遭った人だけでなく、被害を目撃した人にも、周囲への助けの要請や警察・駅員への通報を呼びかけています。
自分が被害者でなくても、「もしかして盗撮では?」と感じたら、その違和感を無視しないことが大切です。
まとめ|盗撮は「周囲を見ること」で防止対策!
外出中の盗撮には、スマートフォンだけでなく、
靴、カバン、ペン、腕時計などに小型カメラを隠す巧妙な手口が増えています。
見た目だけでは気づきにくいからこそ、外出する時は時々スマホから顔を上げて周囲を見る!
そして、
- 必要以上に距離を詰めてくる人
- 不自然に近づく靴やカバン
- 低い位置に向けられたスマホ
- 同じ人が繰り返し近づいてくる動き
などに違和感を覚えたら、場所を移動する。
被害や不審な行動に気づいたら、駅員・店員・周囲の人・警察に知らせる。
こうした小さな行動が、自分だけでなく、近くにいる誰かを守ることにも繋がります。
大きな事ではなく、小さな行動を積み重ねることで予防していきましょう!


コメント