「ピンポーン」
インターホンが鳴ったので画面を見たけれど、誰もいない。
そんな経験はありませんか?
「押し間違いかな」
「子どものいたずらかな」
と、そのまま気にせず終わることも多いと思います。
もちろん、インターホンが鳴って誰もいなかった=空き巣の下見とは限りません。
ただ、侵入前に家の様子を確認するため、インターホンを鳴らして在宅かどうかを確かめるケースがあります。
最近では、インターホンだけでなく、
- 敷地や家の中をのぞき込む
- 同じ人物が何度も家の前を通る
- 営業や点検を装って訪問する
- 家や周辺をスマートフォンで撮影する
- 突然ドアノブを回す
など、住宅の様子を確認しているような不審行動にも注意が必要です。
今回は、元女性警察官の立場から、空き巣などが下見で見るポイント、狙われやすい家の特徴、不審な訪問があったときの対応、今日からできる防犯対策を分かりやすく解説します。
住宅を狙った侵入窃盗は今も多い
警察庁の2025年の統計では、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は17,152件。
前年の16,000件から7.2%増加しています。
内訳を見ると、
- 空き巣:11,684件
- 忍込み:4,784件
- 居空き:684件
となっています。
単純計算すると、全国で1日あたり約47件の住宅対象侵入窃盗が警察に認知されたことになります。
ここで知っておきたいのが、住宅への侵入窃盗は「誰もいない家」だけで起きるわけではないということです。
空き巣は留守中、
忍込みは夜間など家族が寝ている間、
居空きは家族が在宅している間に侵入する手口です。
「家に誰かいるから大丈夫」とは限りません。
だからこそ、留守中だけではなく、在宅中も玄関や窓を施錠するという最低限の「防犯習慣」は大切です。
空き巣は下見で何を見ている?
ほとんどの空き巣犯は、侵入する家を決めるために、事前に住宅やその周辺を確認しています。
大きく分けると、見られているのは次の3つです。
① 留守にしている時間
インターホンを鳴らす、電話をする、郵便物のたまり具合を見るなどして、「在宅しているか」を確認することがあります。
特に、
「毎日この時間は誰もいない」
「昼間は家族全員が外出している」
と分かると、狙われるリスクにつながります。
② 家に入りやすいか
玄関や窓の位置、鍵、防犯カメラの有無、周囲から見えにくい場所があるかなども確認されます。
たとえば、
- 高い塀や植木で外から見えにくい
- 窓の近くに物置や脚立がある
- センサーライトや防犯カメラがない
といった条件が重なると、侵入しやすいと判断される可能性があります。
③ 逃げやすいか
「犯行後にすぐ逃げられるか」も重要です。
人通りが少ない道や、車を停めやすい場所、複数の逃走経路がある場所なども確認されることがあります。
つまり、
「入りやすい・見つかりにくい・逃げやすい」
この3つがそろう住宅ほど、注意が必要です。
最近注意したい「空き巣の下見」の特徴
下見の方法は一つではありません。
単独では何でもない行動に見えても、いくつかの不審な行動が重なる場合は注意してください。
インターホンを鳴らして、すぐに立ち去る
留守かどうかを確認するために、インターホンを鳴らすことがあります。
もちろん、押し間違い、宅配、営業、近所の人などの場合もあります。
ただ、
- 何度も同じ人が来る
- 家の中をのぞき込んでいる
- 他の家でも同じようにインターホンを鳴らしている
- 応答しなかった後も周囲に残っている
などがあれば、少し警戒した方がいいでしょう。
家や敷地を不自然にのぞき込む
門の位置、玄関、窓、庭、駐車場などをじっと見ている人がいるケースもあります。
単に道を探しているだけのこともありますが、
家の周囲を何度も往復する、窓や玄関を重点的に見る
といった行動は、かなり気になる点になります。
同じ人物や車を何度も見かける
家の前や周辺で、
- 同じ人が何度も歩いている
- 同じ車やバイクが長時間停まっている
- 車内から住宅を見ている
といったケースもあります。
一度だけなら偶然かもしれません。
ただ、何日か続いていたり、特定の住宅を見ているようなら、車の色やナンバー、人物の特徴などを記録しておくと安心です。
営業や点検業者を装って訪問する
「近くで工事をしています」
「屋根が壊れています」
「無料で点検します」
「不用品を買い取ります」
など、もっともらしい理由で訪問し、家の中や家族構成を確認しようとするケースもあります。
実際に正規の業者であることもありますが、予定のない訪問なら、すぐ玄関を開ける必要はありません。
インターホン越しに、
会社名・名前・訪問理由
を確認し、その場で契約や家の中への立ち入りを許可しないようにしましょう。
ドアノブを回される
在宅中に突然、
「ガチャッ」
と玄関のドアノブを回された、というケースもあります。
留守かどうか、施錠されているかを確認している可能性も考えられるため、こうした場合は特に注意してください。
在宅していても、玄関の鍵は必ずかけておきましょう。
家をスマートフォンで撮影している
住宅や玄関、駐車場などをスマートフォンで撮影している人を見かけることがあります。
もちろん、地図アプリや仕事の記録など正当な理由がある場合もあります。
ただし、
- 特定の家だけを何度も撮る
- 敷地をのぞきながら撮る
- 家の前を何度も往復する
といった場合も考えられるため、注意は必要です。
見覚えのないシールや印がある
最近よく耳にする下見の特徴として、玄関周辺やポスト、電柱などに、見覚えのないシールや印が付いていたというケースがあります。
ネット上では、
「この印は留守の時間」
「この記号は高齢者世帯」
など、さまざまな“マーキングの意味”が紹介されていますが、すべてに根拠があるわけではありません。
大切なのは、意味を推測することよりも、
見覚えのない物を見つけたら、まず写真を撮ったり記録することです。
不安を覚えたり、不審に感じる場合は、消す前に記録して警察へ相談しましょう。
狙われやすい家には特徴がある?
「高級住宅だから狙われる」
とは限りません。
侵入する側にとって重要なのは、金品がたくさんありそうかだけではなく、入りやすいかどうかです。
外から玄関や窓が見えにくい
高い塀や生い茂った植木は、プライバシーを守ってくれる一方、侵入者の姿まで隠してしまうことがあります。
庭木を整えたり、死角になる場所にセンサーライトを設置したりして、周囲からでも人目につきやすい環境を作ることが大切です。
窓の近くに足場になる物がある
室外機、物置、脚立、ゴミ箱などが、窓や2階へ上がるための足場になることがあります。
特に2階は、
「ここまでは入ってこないだろう」
と施錠が甘くなりがちです。
足場になる物がないか、一度家の外から確認してみましょう。
留守だと分かりやすい
郵便物や新聞がたまっていると、長期間家を空けていることが分かってしまいます。
旅行や帰省などで数日以上留守にする場合は、新聞を止める、郵便物をためないなどの対策も有効です。
防犯設備が少ない
防犯カメラやセンサーライト、補助錠などがある家は、侵入に時間がかかったり、証拠が残ったりする可能性があります。
逆に、
「短時間で入れそう」
と思われる環境は避けたいところです。
インターホンが鳴って誰もいなかったらどうする?
ここで大切なのは、
「誰だったの?」と確認するために、すぐ外へ出ないこと。
できるだけ家の中から確認しましょう。
録画を確認する
録画機能付きインターホンなら、
- 顔
- 服装
- 持ち物
- 訪問時間
- どちらへ立ち去ったか
などを確認します。
不審なことがあった場合、のちに警察へ相談する時などの大切な情報になります。
玄関を開けずに周囲を確認する
窓やモニターなど、安全な場所から周囲を確認します。
気になる人物を見つけても、追いかけたり直接問い詰めたりする必要はありません。
まずは自分と家族の安全を優先してください。
その上で、不審者が居る場合は警察に連絡しましょう。
「居留守だけ」に頼らない
知らない人が来ると、
「面倒だから出ないでおこう」
と思うこともありますよね。
ただ、もし留守を確認しようとしている人物だった場合、全く反応しないことで「誰もいない」と判断される可能性もあります。
そのため、玄関は開けずに、
「どちらさまですか?」
とインターホン越しに対応する方法もあります。
ただし、
「今一人です」
「夫は夜まで帰りません」
「子どもしかいません」
など、家族構成や留守時間につながる情報は言わないようにしましょう。
危険を感じたら110番
次のような場合は、ためらわず警察へ連絡してください。
- ドアノブを回された
- 敷地内へ入ってきた
- 家の中をのぞいている
- 無理に玄関を開けようとする
- 不審者が何度も家の周囲をうろついている
- 今まさに危険を感じている
緊急性はないけれど、
「この訪問、なんとなく気になる」
「ただすぐに通報するのは気が引ける」
という場合は、警察相談専用電話#9110などを利用する方法もあります。
今日からできる「住宅防犯」7つ
家を守るために、高額な防犯設備を揃えなくてもできることはあります。
まずは次の7つをチェックしてみてください。
① 在宅中も玄関・窓を施錠する
ゴミ出しや少し庭に出るだけでも、玄関の鍵をかける習慣を。
② 訪問者はインターホン越しに確認する
知らない人が来ても、すぐ玄関を開けない。
③ 録画できるインターホンを活用する
訪問者の姿や時間が残るだけでも、防犯に役立ちます。
④ 窓に補助錠や防犯フィルムを使う
窓からの侵入対策も重要です。
⑤ センサーライト・防犯カメラを活用する
「見られている」と感じさせる環境づくりも有効です。
⑥ 家の周りの死角を減らす
庭木を整え、侵入者が隠れやすい場所を少なくします。
⑦ 留守だと分かるサインを減らす
郵便物をためない、長期不在をSNSでリアルタイムに発信しないなども大切です。
住宅防犯では、「侵入に時間がかかりそう」「見つかりそう」と思わせることがポイントです。
このチェック項目を参考にして、簡単なことから防犯対策を初めてみましょう。
ただし、不審行動は「ひとつだけで判断しない」ようにしましょう
警察でも、住宅周辺での
- 敷地をのぞく
- 予定のない営業が来る
- ドアノブを回す
- 住宅方向を撮影する
- 見覚えのないシールが見つかる
といった不審な行動について、防犯上の注意喚起は行われています。
ただその一方で、不審な訪問だと思って確認したところ、正規の業者だったというケースもあります。
つまり、必ずしも「不審な行動=犯罪者」ではないということですので、無用なトラブルを避けるためにも「なんとなくおかしい」と思ったら、自分で判断せずに警察に相談してみてください。
元女性警察官けぃのひとこと
「インターホンが鳴っても誰もいない」
これだけでしたら、押し間違いや営業など、犯罪とは関係のないケースもたくさんありました。
しかし、防犯で大切なのは「犯人かどうかを見抜くこと」ではないんです。
違和感があれば、
- 玄関を開けない
- 家の情報を教えない
- 不審なことは記録する
- 危険を感じたら警察に頼る
と、防犯を意識した対応をすることが大切。
そして、特に子どもだけで留守番をする家庭では、
「知らない人がインターホンを鳴らしたらどうする?」
と一度話してみてください。
「玄関を開けない」というだけでなく、
「誰が来ても家族の情報を話さない」
などと、子どもと一緒に防犯の意識を高めておくと安心ですね。
まとめ|「ピンポン」の後の違和感を見逃さない
インターホンが鳴って誰もいなかったからといって、すぐに「空き巣の下見だ」と考える必要はありませんが、
インターホンを鳴らす
+
家をのぞく
+
周辺を何度も歩く
など、不審な行動が重なっている場合は注意してください。
住宅防犯では、
「入りにくい」
「見つかりやすい」
「留守が分かりにくい」
など、狙いにくい家と感じさせることが大切です。
まずは今日、家の外から一度、
「もし自分が侵入しようとしたら、どこが死角になる?」
という目線で自宅を見てみてください。
意外な場所に、防犯を見直すポイントが見つかるかもしれません。


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